見えない奴隷からの搾取で成り立つ現代日本

「こんな時代の貴族に生まれてみたかった」
友人が大河ドラマを見ながら、ふと言いました。
社畜、企業奴隷などと言った言葉が横行する現代で
庶民として暮らすよりは、昔の豪族にでも生まれたほうが
幸せだったのかもしれないと思う、
彼の気持ちはわからなくもありません。
もし、どちらかを選べる機会が
本当にあったとしたらどうでしょう。
余計な規制やルールも少なく、社会的地位からくる
優越感からも精神的なゆとりは
得られやすくなるかもしれません。
しかし、強盗や戦争などで理不尽な被害を
受けるリスクは確実に増えます。
また医療のレベルは大きく下がり最愛の子を
なくす機会も増えることでしょう。
そして何より自身の寿命が今より削られる事も
覚悟しなくてはなりません。
私もそんな妄想にふけた事は何度かありますが、
真剣に考えてみると難しいところ。
将軍のように社会の仕組み全てを変えられる
立場なら絶対に代わりたいですが、
地方豪族レベルならどうか悩むところです。
現代における炊事、洗濯、掃除や電車、車の移動
ならびに各種製品を作るエネルギーを電気ガスなしで、
理論上召し使いが何人以上の身分なら
今よりいい生活が出来るか。
この観点で今の私と比べて見ることにしました。
家臣、召し使い、奴隷など色々な身分の呼び方が
ありますが単純に言えば労働力です。
標準体重の20代男性が1日じゅう安静にしている時と
重労働をしている時のカロリー消費の差が
1,300kcal程度となります。
昔は休日がなかったそうですから
365日働いてくれると考えると労働力1人あたりが
労働するエネルギーは1年間で474,500kcal。
これをベースに現代と比較してみます。
日本人全体のエネルギー消費量が
2009年度で19.2EJ(19.2×1018J)。
これを日本人の人口で割ると1人あたりの
エネルギー消費量は1.51×1011Jとなります。
1kcal=4186Jなのでこれを36M・kcalと
換算した時の労働力は76人分。
今と同じ生活レベルを維持するには
76人の労働力が必要となります。
例えば我が家は5人家族なので今の生活を
維持するには380人の労働力が必要となります。
結婚式で声をかける程度の親類縁者合わせれば
両家で60人程度はいます。
60人に76人づつの労働力がつくと4,560人。
播磨国姫路52万石の藩主、池田輝政が
今の大きさの姫路城を作りました。
姫路城で働いていた人々の総数が
4~5千人と言われています。
見えない奴隷として石油、電気、ガスが
フル回転することにより、現代の日本人は
平均すると全員が有名大名の親類以上の
生活をしている事となります。
大名レベルであれば努力や工夫次第で
自分の生活を良くすること、果ては薩長のように
天下を狙うことも夢ではありません。
逆に一番の下働きのレベルの人々は
どれだけ努力しても中々出世できない事でしょう。
現在、世界には電力、ガスなどエネルギーを十分に
使えない国がたくさんあります。
もし、そのような国々が一斉にエネルギーを存分に
使い始めればエネルギー不足、ならびに今と
比べ物にならない急激な気候変動を招く事でしょう。
その時、人類存亡の危機を防ぐ事を大義名分に、
持つものが持たざるものを軍事的に
押さえつける事も十分に考えられます。
エネルギーの分配の恩恵に預かれる途上国は
核開発に成功した数カ国のみになるかもしれません。
「もし世界中の国々が自国内の持続可能な
 エネルギーをフル活用することができたら」
完全に公平な世界とはならないかもしれませんが、
今よりは世界中の人々が不公平感を感じない
マシな世界になるのではないでしょうか。
私はその主役となるのが太陽光発電であり、
その旗手となるのが我が国だと思っています。
そしてそれが実現されないとき、
我々または我々の子供の世代は
戦禍に見舞われるのではないかと本気で危惧しています。

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